マーケティングの成り立ちとは?マーケティングの歴史や定義をざっくり整理した

マーケティングに関して、自分の守備範囲であるWebコンテンツとデジタル系の運用型広告以外も知っておきたく、歴史や定義をざっくりと整理してみました。

マーケティングの起源は19世紀末~20世紀初頭(諸説あり)

近代マーケティングは、1908年 アメリカのフォード自動車の成功例が起源として有力的で、この頃に「マーケティング」が名詞として登場しました。

当時、マーケティングを担うマーケターは、一般社会で価値を付加するのではなく、単にコスト負担となるミドルマン(仲介者)でした。

マーケティングの定義

マーケティングの定義についても、人によっては捉え方が違うようですが、ここでは、最も広く知られている近代マーケティングの父フィリップ・コトラー氏の定義を紹介します。

マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス

マーケティング – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/マーケティング

マーケティングの手法

マーケティングの基本は、市場分析、生活者分析、競合の分析を行い、それらの分析から「誰に・どんな価値を・どうやって提供するか」といった戦略を考えます。その戦略から、手法を考え実践するのが一連の流れです。

実践方法に関しては時代によって流行り廃りがありますが、マーケティング手法はざっくりこれらにまとめられます

営業職とマーケティング職の違い

営業職とマーケティング職はどちらもセールスに関連していますが役割が大きく違います。

営業職は商品やサービスの購入を”顧客に決定させる”役割を担います。個人や企業それぞれの買い手と、直接対峙するのが特徴です。

マーケティング職は、将来の顧客となりうる”見込み客”を作り出すのが主な役割です。そのため、見込み客を作り出す広告などもマーケティング職がマネジメントします。

現場では、「営業が悪い」とか、「マーケが悪い」とか双方いがみあうことが多々ありますが、同じゴールに向かってお互い補完しあう関係性であります。

今後とも仲良くしてくださいね。マーケのお兄さんとの約束だよ。

マーケティングコミュニケーションは生活環境と購買環境とともに変化してきた

冒頭で近代マーケティング起源は、1908年のフォードによる成功例と紹介しました。それから、世界大戦を経てマーケティング手法も変化していきました。

1950年代:現代マーケティングが誕生

マーケティング活動にて、コミュニケーションとプロモーションの大部分を担っていたのが広告です。

日本では日本テレビが1953年に、日本初の民放局として放送を開始しました。日本テレビは民放テレビ局であり、広告主の広告料によって成り立っています。

テレビの普及に合わせて視聴者数の増加、見る人が増えれば広告主も集まっていき、マーケティングプロモーションの王様といえば、テレビCMと称しても過言ではありませんでした。他にも新聞、ラジオ、雑誌と4大メディア(いわゆるマスメディア)に広告を出すことで、多くの露出と購買喚起を促していきました。

大量生産、大量消費の時代で豊かな生活を目指して、一生懸命働き給料を得て消費する時代でもありました。給料が年齢に応じて右肩上がりということもあり、マイホームのような大きな買い物でも、ローンを組んで購入することに対して、不安をあまり感じなかったのではと思います。

この流れは1990年代の、バブル崩壊まで続きます。

1990年代:インターネットが一般利用可能に

この時代からインターネットが一般の人でも利用可能になりました。インターネットユーザーが増えれば、広告主が集まり広告が増えていきます。日本でも1996年に、Yahoo!JAPANがバナー広告の取扱をいち早く開始しています。

ちなみに「CMスキップ機能」が誕生したのもこの時代です。録画機の機能の1つでしかないのですが、広告が邪魔で飛ばしたいという消費者欲求が形になった、広告に携わった人間として大きなできごとです。

日本ではバブル経済、バブル崩壊、失われた20年の始まりと、戦後から続いた価値観から変化し始めた時代とも言えます。今でもくすぶっている、将来への漠然とした不安は、2018年になっても未だに残っています。

2000年代:玉石混交に増え続ける情報にグーグル先生大活躍

インターネットが誰もが使う当たり前の時代になった2000年代。爆発的に情報が増えていきまして、便利さを通り越して、情報が過剰になった時代とも言えます。多すぎる情報から有益な情報がわかることが価値となり、様々な検索システムが作られました。

そんな時代に生まれたグーグルはインターネット上にある膨大な情報を収集して有益性を評価する検索システムを作り上げ、21世紀を代表する企業となっています。

生活者がインターネットを使って調べようとする検索キーワードは、生活者の「知りたいこと」「ニーズ」であり、その検索キーワードで上位表示されることが、マーケティング的に大事になってきます。

そこで、インターネットの世界ではグーグルに評価されることが何より大事であり、検索エンジン最適化(SEO)という言葉も飛び交うようにもなりました。

マスコミ界隈ではインターネットとの距離感に悩みつつ、融合したり排除したり対応に追われていました。ブログやSNSもこの時代から登場しました。HTMLの知識を持っていない人でも、かんたんにインターネット上でコミュニケーションできる時代になりました。

今までは企業や団体が生活者に対してメッセージを”伝える”ことが、プロモーションの手法だったのですが、”伝える”だけでは完結しない時代になりました。

2010年代:スマホがコミュニケーションの中心に

スマホが普及し、誰もが、いつでも、どこでも、インターネットと繋がる時代になりました。

情報過多はより激しくなり、情報にアクセスしやすい時代にも関わらず、伝えたいことが伝わらない時代となりました。

マーケティングも同様に明確な相手に的確なタイミングと手段といった、正確性が重要になっています。

それらを実現するためには、マーケティングマネジメントとテクノロジーを活用することが必要で、この流れはより進んでいく傾向にあります。

日本では、失われた20年も終わり経済的に明るい兆しが多く聞かれるものの、20年間で作られた空気はそんな簡単に変わりません。トップ層が世代交代する頃には、また新たな価値観になっているのではと思います。

このように、生活者を取り巻く状況や環境は変化し続けるため、その変化に合わせて、マーケティング活動も変化していくのでした。

マーケティング施策の先に人がいることを忘れない

このように、今のマーケティング活動にはテクノロジーが欠かせない状況ですが、テクノロジーの先には受け取る人がいることを忘れてはいけません。マーケティング分析したにも関わらず、良かれと思ってやったことが嫌われる場合もあります。

間が悪いコミュニケーションは嫌われる

マーケティングコミュニケーションは、生活者日常生活に入り込みコミュニケーションを行います。そのため、好かれることもあれば嫌われることもあります。一度嫌われてしまうと、そう簡単には好いてもらえません。

90年代に生まれたCMスキップ機能は、生活者がCMをスキップできる機能に価値を感じており、つまりCMは録画再生中は邪魔ということを表しています。

また、今その気がない人に対してコミュニケーションをするのも、嫌われる原因です。

セールス担当者が顧客と対峙するような状況であれば、相手の反応を見ることができて手法を変えたり、深入りしなかったりとコントロールできるのですが、不特定多数を相手にしているマーケティング活動において、相手の顔色が即分かる機会は多くありません。

しつこいコミュニケーションは嫌われる

その気にさせるために、熱烈なメッセージを一方的に送り続けるのも嫌われる原因です。インターネット登場以前は生活者にメッセージを送ることに対して、人が多く介在するため今以上にコストがかかりました。インターネット登場以降、生活者にメッセージを送るコストがだいぶ少なくなり、昔と比較すると送り放題の状態です。

ただでさえ情報過多の時代にメッセージを大量に送ることは嫌がらせでしかありません。いくら好意をもっていた生活者だったとしても、しつこさゆえに、百年の恋も一時に冷めます。

目に入っても興味がなければ記憶に残らない

街に出ればいたるところに、生活者とコミュニケーションを取ろうと屋外広告が出されています。見ているはずなのに、その中でいくつ覚えているでしょうか?ほとんど覚えていないと思います。

興味を持ってもらう工夫をするか、興味を持っている人がいるところを考えなければ、そのコミュニケーションは無駄になります。

数百人入った講演会後に講演者と名刺交換したところで、よっぽど印象に残ることを会話しないかぎりは、講演者は忘れてしまいます。アイドル握手会のような握手することに意義があると、同じ目的なら良いのですが…

代替手段が多くある時代

自分が携わる仕事探しの領域では、同じようなサービスを提供している会社がごまんとあります。顧客にとってみれば、弊社にこだわる必要性はありません。そんな状況下で弊社を選んでもらうには、顧客が持っている課題解決に加えて何か決め手が必要になります。

それが、価格なのかサービスなのか、コンサルタントに美談美女が多いからなのかは、顧客が持つ決定基準次第です。そこで必要になってくるのが、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングといったことです。

頭文字をとってSTP分析と呼ばれるのですが、それらはまた別の機会に。
(…昨年秋頃からダラダラと書いていった結果、年も明けて節分も過ぎていた…)

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