漫画「ラジエーションハウス」を読んで。医療現場とWeb解析の現場で共通点があると思った話。

ラジエーションハウス1巻
最近、ラジエーションハウスという漫画にはまってます。現在グランドジャンプで連載されている診療放射線技師や放射線科医が主役の医療系漫画です。

我々の病を見つけるのは、目の前の主治医だけではなかった!
病の原因を探り、レントゲンやCTで病変を写し出す診療放射線技師。
さらには画像を読影し病気を診断する放射線科医。
現代医療を支える「画像診断」の世界──。
そこで働き、患者の病、怪我の根源を見つけ出す放射線のエキスパートたちの戦いを描く!!
引用:グランドジャンプ連載陣詳細ページより

放射線技師の存在は知っていましたが、放射線科医という存在はこの漫画を読むまで知りませんでした。画像を元に病の原因を探っていくあたり、自分が日々やっているWeb解析関連に通じるものがあります。

熟練のドクターは触診や見た目だけで怪我や病気を見抜く場合がありますが、これは、ドクターとしての知識に加えて多くの症例を見て経験したことによってできる技です。Web解析の世界でもヒューリスティック分析という分析者の知識と経験を活かしWebサイトを見たり操作したりして欠点(病みたいなもの)を見抜く手法があります。見えている部分、触ってわかる部分のみでの判断となるため、目に見えない部分などは経験や症例を元にした「想像」になってしまい客観的な事実とまでは言い切れません。そこで、知識をもっている人が見れば「この部分、何かおかしい」と誰でもわかる事実が加われば、それらの想像を裏付けする材料となり診断や判断の信頼性が増します。Web解析も同様で、アクセスログやヒートマップなど状態が見えるツールが客観的事実を私たちに提供してくれます。ありがたい話です。しかし、目に見える客観的事実だからこそ扱い次第では間違った方向に進んでしまう危険も持っています。

知識や経験が無い人のWeb解析は初動を間違える

ドラマやマンガなどで色々と描かれており医療現場が想像しやすいので、またレントゲンを例にして考えようと思います。例えば、右腕を骨折しているレントゲン写真があったとします。骨折しているという状態はわかりますが、どうして骨折したかはわかりません。事故にあって骨折したのか、ケンカをして骨折したのか、日常生活をしていただけなのに骨折したのか…レントゲン写真は状況を写されますが、骨折の原因までも写しだされるとは限りません。問診や違う検査などをして症状の診断し、今後の治療方針を患者に説明します。原因はわからないにしても、私のような医療関連の素人目で見て「骨折」は見た目わかりやすく、「骨折」という状況は判断できると思いますが、これが「臓器に写る不穏な影」でしたら、なんのこっちゃわかりません。

Web解析ツールの代名詞のような存在であるグーグルアナリティクスは高機能かつ無料で提供されていることもあり誰でも使えます。PVの推移グラフを見てPVが昨日多かったという状態はわかります。ただし、PVが増えた原因を探ったり、不穏な動きがあるがこれは何なのか、という部分まで踏み込んで使う人はそんなに多くありません。例えば、PVが増えた原因は「集客」を見るとオーガニックサーチからの流入が多かったとわかった場合は、どうして検索流入が多くなったのかをグーグルアナリティクス以外のツールを使ったり、Web内外の情報を掘って客観的な事実を探し原因を見つけ出すなど、医療現場と同じように総合的に判断をします。この総合的な判断ができるかどうかが「Web系の解析ができる人」かどうかの分水嶺だと思います。今回は流入増の原因を探るという部分ですが、他にもいろんな症状を診る機会がありまして、それらも「客観的に事実を探し総合的に判断をする」をしていきます。総合的な判断をせず、1つの指標や状況だけで判断すると、まぁまぁ誤ります。自分も何度も痛い目見てます。

医療カンファレンスをWeb解析の現場に置き換えたらどうだろう

ドラマやマンガで患者のカルテやレントゲンを見ながら「どういった手術をするのか」ドクター同士会議をしているシーンが多々あります。ドクター間のパワーバランス要素は目を瞑りまして、、このように治療方針を議論していく場は、Web解析の現場でも必要じゃないかなと思います。町の診療所で1人勤務しているドクターも、研修医の頃は大学病院などでカンファレンスに参加し、議論を通じて知見に深みを持たせていったと思います。医療と違い、トライアンドエラーを繰り返して改善していくのがWeb界隈のトレンドだったりしますが、薄い解析は解析の意味をなしません。Web解析の現場では誰でも気軽に使えるツールが出てきた反面、状況だけ知っているが、その状況に至った原因判断が怪しいことによく遭遇します。同じ物を見ていても、見え方が違うのは知識、経験などによるところもあるので仕方ありません。

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